キャンピングカーや、ハイエース等のバンコン等に搭載したサブバッテリーを空にしてしまうと、電気が使えなくなるばかりではなく、バッテリーが急激に劣化してしまいます。そうならないように、バッテリー残量には注意する必要があります。
今回、我が家のハイエースに搭載したサブバッテリーの残量を把握するために、バッテリー残量計についていろいろ調べたのですが、あまり一般的な製品ではないせいか、まとまった情報が存在しません。そこで、今回記事にすることにしました。
さて、バッテリーの残量を測定するバッテリー残量計には、以下の2タイプが存在します。
以下、それぞれのメリット・デメリットと、具体的な商品を紹介していきます。
目次
①簡易タイプ:バッテリー電圧からバッテリー残量を推定
このタイプの残量計は、残量が減ってくると電圧が低下するという「鉛バッテリー」の特徴を利用して、バッテリー残量を推定するものです。AGMタイプの鉛バッテリーだと概ね13V以上だと満充電、12V程度だと残り50%程度、11.5V以下になるとほぼ空っぽということになります。
メリット
安い
このタイプの残量計は、単にバッテリー電圧を測定するだけなので、比較的安価です。安いものだと1,000円台から購入できます。
デメリット
放電中・充電中はバッテリー残量の把握が難しい
鉛バッテリーは、放電中(サブバッテリーを使用しているとき)は一時的に電圧が低下するという特性があります。なので、単純にバッテリー電圧からバッテリー残量を推定する残量計だと、放電中は、バッテリー残量が少なく表示されてしまいます。
また、バッテリー充電中も、走行充電器やソーラー充電コントローラーにより電圧が上がってしまいます。この場合も、単純にバッテリー電圧からバッテリー残量を推定する残量計だと、充電中は、100%と表示されてしまいます。
つまり、サブバッテリーを使用している時や、サブバッテリーを充電している間は、バッテリー残量を正しく把握することは困難です。正確にバッテリー残量を把握するためには、放電も充電もしていない状態で数時間経過し、バッテリーの電圧が安定した状態でバッテリー残量を見る必要があります。
電流は測定することができない
このタイプの残量計の殆どは、バッテリーの電圧を測定することはできますが、どのくらいの電流が流れているのかを測定する機能はありません。なので、使用中の機器(冷蔵庫、電気毛布、FFヒーターなど)がどのくらい電気を消費しているのかを知ることはできません。
商品紹介
アマゾンで「バッテリー残量計」と検索すると、1000円~2000円程度のバッテリー残量計がたくさんヒットします。これらは、簡易タイプのバッテリー残量計になります。
CTEK社 バッテリーセンス
もう少し高機能なものですと、CTEK社のバッテリーセンス(Battery sense)があります。
この商品は、Bluetoothを内蔵しており、スマホに電圧や残量を表示させることができます。スマホでバッテリー状態を確認できると、運転席や車外からもサブバッテリーの状態を把握できるので、非常に便利だと思います。
CTEK社の公式ホームページはこちらです。
バッテリー残量の変化をグラフ表示することもできます。なお、電圧の測定間隔は5分ごとなので、バッテリー電圧の変化をリアルタイムで確認することは出来ません。
なお、バッテリーセンスは、放電中は電圧が低下するという鉛バッテリーの特性を考慮してバッテリー残量を表示するようです。※詳細なアルゴリズムは不明
②高機能タイプ:バッテリーから流れる電流を測定して、バッテリー残量を計算
このタイプの残量計は、電流計を用いてバッテリーから流れ出た電流の量を直接測定し、バッテリーの容量から引き算することで、バッテリー残量を推定するものです。電流を直接測定するため、①の残量計よりも高精度に残量を計測することができます。また、リチウムイオンバッテリーの残量も測定することができます。
メリット
放電中・充電中でもバッテリー残量の把握が可能
バッテリーから流れ出た電流の量を直接測定し、バッテリーの容量から引き算していますので、放電中でもバッテリー残量を把握することが可能です。
なお、鉛バッテリーには、同時に流す電流が多くなるほど、実質的な容量が減少するという残念な特徴があります。※リチウムイオンバッテリーにはこのような特性はありません。
例えば、12Aの電流を10時間流し続ける能力がある鉛バッテリー(容量120AH)があります。
しかしながら、バッテリーメーカーのスペックシートによれば、
21Aの電流(約250W)を流し続けた場合・・・105AH(約88%に低下)
32Aの電流(約380W)を流し続けた場合・・・95AH(約80%に低下)
78Aの電流(約940W)を流し続けた場合・・・77AH(約64%に低下)
というように、流す電流が多くなるほど実際の容量が減少してしまいます。つまり、電気毛布など消費電力が少ない機器を使う分には、スペック通りの電気を流すことができますが、電子レンジやエアコンなど消費電力が大きい機器を使うと、スペック通りの電気を流すことができないということです。
高機能タイプのバッテリー残量計は、このような鉛バッテリーの特徴を考慮してバッテリー残量を計算してくれます。
デメリット
値段が高い
値段は、バッテリー電圧からバッテリー残量を推定するタイプの残量計よりも高価です。最低でも2万円以上です。キャンピングカーのビルダーで取り付けると、6~7万円ほどかかるようです。
最大電流を考慮して製品を選択する必要がある
測定可能な最大電流は製品ごとに異なりますので、サブバッテリーに接続している機器の消費電力を考慮して製品を選ぶ必要があります。
例えば、1500Wクラスのインバーターを搭載している場合、1500Wの機器を使用しますと、1500W÷12V=125Aの電流が流れます(実際には、インバーターの変換効率は100%ではないので、もう少し多くの電流が流れます)。そのため、測定可能な電流の最大値が125A以上でないと、1500Wクラスのインバータを搭載している場合には対応できないことになります。
一方、500Wクラスのインバーターを搭載している場合、500Wの機器を使用しますと、500W÷12V=約42Aの電流が流れます。実際には、インバーターの変換効率は100%ではないので、もう少し多くの電流が流れますが、測定可能な電流の最大値が100Aの製品であればOKです。
商品紹介
高性能タイプのバッテリー残量計を紹介します。
ボトロニック(VOTRONIC) バッテリーコンピューター100S,200S,400S
VOTRONIC社公式HPから引用
バンテック製のキャンピングカーに搭載されているバッテリー残量計です。ボトロニック社は、ドイツの会社です。
バッテリー電圧(サブバッテリーとスターターバッテリーの両方)、電流、バッテリー残量、バッテリーを使い切るまでの残り時間を表示することができます。
測定可能な最大電流の大きさに応じて以下の3機種が存在します。
LCD-Batterie-Computer 100 S :測定可能電流100A以下
LCD-Batterie-Computer 200 S :測定可能電流200A以下
LCD-Batterie-Computer 400 S :測定可能電流400A以下
DIYで取り付けされる方は、オンリースタイルの通販サイトや、ニュージャパンヨットの通販サイトから購入することができます。
お値段は、上記通販サイトですと7万円前後ですが、Amazon(ドイツ)での販売価格は、400Sで約220ユーロ(約2万6千円)です。価格差が大きいので個人輸入にチャレンジしてみてもよいかもしれません。
製品のPDFマニュアルはこちらからどうぞ。
マニュアル(日本語) ※ニュージャパンヨットHPへのリンク
Operating manual(英語) ※公式HPへのリンク
ナサマリン(NASA MARINE) Battery Monitor BM-1、BM-1 Lithium、BM-2
NASA MARINE社公式HPから引用 ※BM-1 Lithiumの写真
キャンピングカーに搭載している方が多いバッテリー残量計です。ナサマリン社は、イギリスの会社です。
バッテリー電圧、電流、バッテリー残量を1画面で表示することができます。本記事で紹介するバッテリー残量計の中で、これらの情報を1画面に表示できるのは、この製品と、simarine社のPICO battery monitorのみです。
測定可能な最大電流の大きさやバッテリー種別に応じて以下の3機種が存在します。
BM-1:測定可能電流100A以下 ※鉛バッテリー用
BM-1 Lithium:測定可能電流100A以下 ※リチウムバッテリー用
BM-2:測定可能電流200A以下 ※鉛バッテリー用
また、BM-1 compact、BM-2 compactという、コンパクトサイズの製品も存在します
DIYで取り付けされる方は、ゆうこうマリン社HPの通販サイトから購入することができます。BM-2の価格は32,500円です。BM-2 compactは32,240円です。なお、ナサマリン社公式HPによれば、BM-2の価格は約135ポンド(約2万円)なので、良心的な価格と思います。
製品マニュアルはこちらから。
アマゾンでも販売されてますが、高いです。
ビクトロンエナジー(Victron energy)BMV-702,BMV-712
ビクトロンエナジー社は、オランダの会社です。
バッテリー電圧(サブバッテリーとスターターバッテリー)、電流、バッテリー温度(別売りの温度センサが必要)、バッテリー残量、バッテリーを使い切るまでの残り時間を表示することができます。
測定可能電流は、500A以下です。
BMV-712は、測定結果をBluetoothで送信し、スマホ画面に表示させる機能もついています。(BMV-702には無し)
アマゾンUSAから並行輸入することもできます。アマゾンUSAでは評価数が多く、点数も高いです。
製品マニュアルはこちらから。
Victron Energy ASS000100000、BMV-702/712用温度センサー
シマリン(simarine) pico battery monitor
simarine社公式HPから引用
simarine社は、スロベニアの会社です。
バッテリー電圧(最大6系統)、電流(最大20系統)、バッテリー残量、バッテリーを使い切るまでの残り時間を表示することができます。今回紹介したバッテリー残量計の中で、唯一タッチパネル操作をすることができます。
下の写真のように、履歴をグラフ表示をすることもできます。
複数系統の電流を表示できるので、例えば、冷蔵庫、FFヒーター、ソーラーパネルなど、機器ごとに電流を表示させることができます。電流を機器ごとに表示できるのは、今回紹介したバッテリー残量計の中で、この機種だけです。
測定可能電流は、最大300A又は500Aです。
なお、電流を機器ごとに表示させたい場合には、別売りのデジタルシャントモジュール(1台につき4機器接続可能)が必要になります。
SCQ25 QUADRO DIGITAL SHUNT MODULE
その他、測定結果をWiFiで送信し、スマホ画面に表示させる機能もついています。
値段は、日本への送料を含めて288€(約34,000円)です。以下の公式HPから注文できるようです。
https://www.simarine.net/pico-battery-monitor/
製品マニュアルはこちらから。
pico battery monitor Manual(英語)
ちなみに、アマゾンUSAの口コミを見ると、バグが多いというコメントがありました。デザインも良いのですが、高機能過ぎてソフトウェアが追い付いていないのかもしれません。
サンテクノ株式会社 BAT.MAN Ai2 [BMU-040]
サンテクノ株式会社HPから引用
こちらの商品は、本体に画面は存在しません。Bluetoothを内蔵しており、スマホ画面に、バッテリー電圧、電流、バッテリー温度、消費電力、温度、バッテリー残量を表示します。通信距離は100mなので、運転席や助手席のみならず、多少車から離れていてもサブバッテリーの状態を確認することができます。
測定可能電流は、最大200Aです。
値段は、35,000円(税抜き)です。
(参考)サンフジ電子 A-Vモニター AM-120K-190F>
サンフジ電子HPから引用
サンフジ電子製の、電圧、電流計です。バッテリーの電圧、バッテリーから流れる(又は流入する)電流を測定して表示します。なお、バッテリー残量を表示する機能はありませんので、参考として掲載しました。
許容電流の大きさが、60Aまで、110Aまで、190Aまでの3機種が存在します。
バッテリー残量警報が搭載されており、バッテリー電圧が低下するとアラームを鳴らす機能を搭載しています。
測定可能電流は、190A以下です。価格は26,800円です。
注文は、サンフジ電子にメールすればよいそうです。
サンフジ電子のHPはこちらです。
http://www.janis.or.jp/users/fuji2/av-monitor/av60-110.html
まとめ
以上、海外製品を含めてバッテリー残量計8機種を紹介させて頂きました。サブバッテリーに残量計を導入しようと考えている方々の参考になれば幸いです。